例えば、プライベート・エクイティは過去四半世紀にわたり一貫してパブリック市場を上回るパフォーマンスを示しており、長期的に相対的なアウトパフォーマンスが持続していることが確認されています²。投資対象をパブリック市場のみに限定することは、大規模で成長性が高く、優れた競争力を有する企業への投資機会へのアクセスが制限される可能性があります。プライベート・マーケット資産への投資は、ポートフォリオの強化につながる特性が期待されることから、長年にわたり大手機関投資家に活用されてきました。個人投資家により適した新たな投資手法の登場により、プライベート・マーケットは現在も急速な成長を続ける投資機会となっています。
2015年以降のリスク/リターン実績3

過去のパフォーマンスは将来の結果を示唆するものではありません。過去のトレンドが将来も継続する保証はありません。
プライベート市場は、多くの方が認識している以上に大きな規模を有しています。また、その中に含まれる企業も同様に、その規模は想像以上に大きいと言えます。実際、年間売上高1億米ドル以上を生み出す米国企業の約81%は非上場企業です⁴。こうした企業は、事業運営や成長に必要な資金を確保するためにプライベート資本市場を活用しており、そこに投資機会が生まれています。
プライベート・マーケットの規模が着実に拡大する中で、多くの優良企業は非公開のまま長期間留まる、あるいは上場後に非公開化を選択する傾向が見られます。一方で、パブリック市場では世界的に非公開化の動きが進む中、米国の上場企業数は過去10年間、概ね横ばいで推移しています。
パブリック市場は、短期的なセンチメントや四半期ごとの業績プレッシャーの影響を受けやすい傾向にあります。また、上場株式は市場変動リスクにさらされているため、企業のファンダメンタルズに大きな変化がなくても、バリュエーションが大きく変動する場合があります。一方、プライベート市場では、より長期的な時間軸で投資を行うことが可能であり、資産運用会社は成果の実現までに時間を要する戦略にも柔軟に取り組むことができます。また、多くのプライベート投資で採用されるバイ・アンド・ホールド戦略は、差別化されたリターンの獲得機会や、ポートフォリオの安定性向上につながる可能性があります。
プライベート市場への投資は、経験豊富な資産運用会社により行われます。これらの資産運用会社は、パブリック市場では得られない情報へのアクセス機会が多く、投資先企業に対して支配権を有する場合には、経営改善や価値向上に向けた変革を実行できることもあります。優れたプライベート資産運用会社は、投資機会を発掘する能力に加え、徹底したデューデリジェンスの実施や積極的なポートフォリオ運営にも強みを有しています。こうしたアプローチは、パブリック市場では一般的に得にくい資本保全の機会の追求につながる可能性があります。
プライベート市場への投資は、パブリック市場への投資と比べて流動性が低い一方で、投資家は一般的に、その対価として非流動性プレミアムを享受することができると考えられています。過去の実績を見ると、これらの資産が単に流動性の低さだけを理由にパブリック市場を上回るリターンを実現してきたわけではありません。むしろ、プライベート市場の戦略は、流動性が低いことへの対価として、相応のリターンを伴う魅力的なリスク・リターン特性を提供してきた傾向⁶があります。
また、プライベート市場の資産そのものは一般的に流動性が低いと考えられるものの、それらを組み入れるファンドの仕組みは進化しており、運用商品によっては定期的な換金機会が設けられてい る場合があります。
このようなプライベート・マーケットの拡大基調は、一過性のものではありません。複数の要因に支えられ、プライベート・マーケットの運用資産残高は、10年前の約10兆米ドルから増加し、2030年末までに30兆米ドル超に達すると見込まれています⁷。

足元では、資金調達面での制約が限定的であることなどを背景に、多くの企業が非公開のままでいることを選択する傾向が見られます。長期志向のいわゆる「ペイシェント・キャピタル」(およびその提供者)の流入により、企業はパブリック投資家に広く門戸を開くことなく、資金調達を行うことが可能となっています。こうした動きは、優良資産の裾野を拡大させるとともに、プライベート・マーケットの価値に対する認識の高まりを示しています。
パブリック市場は、マクロ経済の変動や地政学的イベントの影響を受けやすい傾向があります。足元では、インフレの高止まりと金利上昇が不確実性を高め、その結果、ボラティリティを押し上げています。評価額の算出頻度が相対的に低く、投資期間が長期にわたるといった特性から、短期的な要因の影響を受けにくいプライベート資産に対して、投資家が今後も資金配分を継続していく可能性が高いと考えています。
プライベート・マーケットは、もはや超富裕層や大手機関投資家に限定されたものではありません。テクノロジーの進展、革新的な金融商品の登場、デジタル・プラットフォームの普及により、個人投資家とプライベート・マーケットの投資機会との距離は縮まりつつあります。こうしたアクセス拡大により、より幅広い投資家の参加が進み、さらなる成長への道筋が開かれています。

今後数十年にわたり、約84兆米ドルの資産が移転すると見込まれています⁸。史上最大規模の資産移転が進む中、投資に対する考え方にも顕著な変化が生じる可能性があります。若年層の投資家は、オルタナティブ投資への認知や受容度が相対的に高い傾向にあり、従来のパブリック資産にとどまらない分散投資への関心を強めています。
21歳から42歳の約4人に3人が、株式と債券のみでは平均を上回るリターンの達成は難しいと考えています。さらに、こうした若年層の投資家は、上の世代の投資家と比べて、オルタナティブ投資への資金配分が約3倍となっています⁹。
平均ポートフォリオ配分⁸
若年層投資家のポートフォリオは、上の世代と比べてオルタナティブ資産の比率が高い
分散投資および資産配分戦略は、利益を保証するものではなく、市場下落局面における損失の回避を保証するものでもありません。
機関投資家は長年にわたり、分散効果の向上、収益の予見可能性の向上、ボラティリティの低減といった目的から、プライベート・マーケットを中核的な資産配分として活用してきました。これらはいずれも、個人投資家にも共通する重要な投資目的です。一方で、個人投資家のポートフォリオにおけるプライベート・マーケットへの配分は平均で5%未満にとどまっており、年金基金および大学基金(エンダウメント)の平均配分がそれぞれ25%、55%であるのと比べて大きな差があります¹⁰,¹¹。このようにオルタナティブ投資への配分が十分でない場合、個人投資家は、プライベート・マーケットにおいて歴史的に観測されてきた分散効果やボラティリティ低減効果の恩恵を十分に享受できない可能性があります。
その主因の一つは、アクセスにあります。従来、プライベート・マーケットは、多額の資金や専門的な知識、適切なネットワークを必要とすることから、機関投資家や超富裕層にほぼ限定された領域でした。また、従来のプライベート・マーケット投資は、最低投資額の高さや長期にわたるロックアップ期間といった構造的な制約から、一般の個人投資家にとってアクセスしにくいものでした。
プライベート・マーケットは、もはや一部の投資家向けの「特別な投資先」ではなく、投資ポートフォリオにおける重要な構成要素となりつつあります。これまでの実績を踏まえると、オルタナティブ投資を検討対象から外すことは、投資家が目標達成を図るうえで有効となり得る手段を見過ごすことにつながる可能性があります。現在では、これまで以上に、プライベート・マーケットを投資戦略に組み込むことは特別な取り組みではなく、長期的な目標達成を支える中核的な資産配分の一つとなりつつあります。
注記
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